業務上の規制・帳簿・従業者証明書
守秘義務、重要事実の告知、従業者証明書・名簿・帳簿・標識など日常業務の規制を整理します。
信義誠実と守秘義務は退職後も意識する
取引相手を守る基本義務
- 宅建業者は信義を旨として誠実に業務を行い、従業者の教育に努めなければなりません。
- 宅建業者とその使用人その他の従業者は、正当な理由なく、業務上知り得た秘密を他へ漏らしてはなりません。宅建業をやめた後や従業者でなくなった後も守秘義務は続きます。
- 契約締結を勧誘する際などに、相手方の判断へ重要な影響を及ぼす事項について、故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為は禁止されます。
履行遅延と不当な勧誘をしない
代表的な禁止行為
- 物件の登記、引渡し、取引に伴う対価の支払いについて、不当に遅延する行為は禁止されます。
- 手付金を貸し付ける、分割払いにする、立て替えるなど、信用を供与して契約締結を誘引する行為は禁止されます。単に金融機関を紹介・あっせんすることとは異なります。
- 断定的判断を提供すること、威迫すること、契約しない意思を示した相手へ勧誘を続けること、迷惑な時間の電話・訪問、退去妨害なども禁止されます。
従業者証明書と従業者名簿は別物
携帯・提示・保存
- 宅建業者は従業者へ従業者証明書を携帯させなければならず、従業者は取引関係者から請求されたときに提示します。宅建士証を持っていても、従業者証明書の携帯義務がなくなるわけではありません。
- 各事務所には従業者名簿を備え、取引関係者から請求があれば閲覧させます。従業者名簿は最終の記載をした日から10年間保存します。
- 従業者証明書は従業者本人が携帯するもの、従業者名簿は事務所に備えるものです。
帳簿・標識・報酬額表を置く場所
備付けの範囲
- 各事務所には業務に関する帳簿を備え、取引ごとに所定事項を記載します。帳簿は原則として各事業年度末の閉鎖後5年間、自ら売主となる新築住宅に関するものは10年間保存します。帳簿に一般の閲覧制度はありません。
- 事務所には標識と国土交通大臣が定めた報酬額を掲示します。一定の案内所等にも標識は必要ですが、報酬額表の掲示義務は事務所について定められています。
- 従業者名簿は閲覧対象、帳簿は閲覧対象ではないという対比が頻出します。
供託所等の説明は35条とは別
- 宅建業者は契約成立前に、相手方が宅建業者でないとき、営業保証金や弁済業務保証金に関する供託所等を説明します。35条の重要事項説明とは別の義務です。
- この説明は宅建業者自身の義務で、宅建士が行うことや宅建士証を提示することまでは求められていません。契約後では遅い点は35条と同じです。
- 保証協会の社員でない業者は営業保証金を供託した供託所と所在地を説明します。社員である業者は保証協会の名称・住所・事務所所在地と、弁済業務保証金を供託する指定供託所等を説明します。
法令・出典情報
- 法令基準日
- 2026年4月1日
- 確認日
- 2026年7月29日
- 法令根拠
- 宅地建物取引業法第31条、第45条、第47条から第50条、第75条の3、同法施行規則第17条から第19条
- 更新内容
- 従業者名簿の記載事項や標識様式には近年の省令改正があるため、2026年4月1日時点の様式を前提としています。
公式参照先
2026年4月1日時点の公式法令・国土交通省資料を基に、宅建試験の主要論点を独自整理した記事です。