宅建業法 ・ 営業保証金

営業保証金の供託・還付・取戻し

供託額、事業開始までの順序、保管替え、還付後の補充、取戻しを数字と手続の流れで整理します。

読了目安 約10分 ・ 2026年4月1日基準

営業保証金は取引相手を守るための備え

宅建業者が取引上の債務を履行できないときに、一定の取引相手が弁済を受けられるよう、宅建業者自身があらかじめ供託するのが営業保証金です。保証協会へ加入して弁済業務保証金分担金を納める制度とは別なので、誰が供託するか、金額はいくらかを分けて覚えます。

供託、届出、事業開始の順番

最初に固定する3段階

  • 営業保証金は、主たる事務所の最寄りの供託所へまとめて供託します。金額は主たる事務所が1,000万円、その他の事務所が1か所につき500万円です。
  • 供託後、供託書の写しを添えて免許権者へ届け出ます。その届出をした後でなければ事業を開始できません。
  • 免許の日から3か月以内に届出がないと、免許権者は届出をするよう催告します。催告が到達してから1か月以内にも届出がなければ、免許を取り消すことができます。
  • 新たにその他の事務所を設けるときも、500万円を追加供託して免許権者へ届け出た後でなければ、その事務所で事業を開始できません。

金銭と有価証券を組み合わせられる

有価証券の評価割合

  • 金銭だけでなく、国債証券、地方債証券、政府保証債、国土交通大臣が指定した社債券その他の債券を供託でき、金銭と有価証券の併用もできます。株式や手形は対象ではありません。
  • 国債証券は額面金額の100パーセント、地方債証券と政府保証債は90パーセント、その他の指定債券は80パーセントで評価します。
  • 例えば必要額が1,000万円で、地方債証券を額面1,000万円分供託しても評価額は900万円です。残る100万円分を金銭などで補う必要があります。

主たる事務所の移転は供託物で分かれる

最寄りの供託所が変わる場合

  • 営業保証金を金銭だけで供託している場合は、旧供託所へ費用を予納し、遅滞なく新供託所への保管替えを請求します。
  • 有価証券が含まれている場合は保管替えではなく、遅滞なく新供託所へ営業保証金を新たに供託し、その後に旧供託所の営業保証金を取り戻します。
  • 保管替えまたは新たな供託をしたときは、供託書の写しを添えて免許権者へ遅滞なく届け出ます。

還付を受けられる人と補充期限

還付と補充を一続きで覚える

  • 還付を受けられるのは、その宅建業者と宅建業に関して取引をし、その取引から債権が生じた者です。ただし、取引相手が宅建業者である場合は対象外です。
  • 広告代金など、宅建業者との宅建取引から生じたものではない債権は対象になりません。還付の範囲は、その宅建業者が供託した営業保証金の額までです。
  • 還付によって営業保証金が不足した宅建業者は、所定の通知書を受け取った日から2週間以内に不足額を供託し、さらに2週間以内に供託した旨を免許権者へ届け出ます。

取戻しは原則として6か月以上の公告後

全部と一部の取戻し

  • 免許の有効期間満了、廃業等による免許の失効、免許取消しなどの場合は全部を、一部の事務所を廃止した場合は超過額を取り戻せます。
  • 原則として、還付請求権者に6か月以上の一定期間内に申し出るよう公告し、その期間内に申出がなかった後でなければ取り戻せません。取戻事由の発生から10年を経過した場合は公告不要です。
  • 主たる事務所の移転に伴い新供託所へ新たに供託した後、旧供託所の営業保証金を取り戻す場合は、この6か月以上の公告は不要です。

免許・供託・差替えの順序

  • 営業保証金は、免許を受けた後に供託し、免許権者へ届出をしてから事業を開始します。支店分も含め、主たる事務所の最寄りの供託所へまとめて供託します。
  • 金銭と有価証券を混ぜて供託している場合に、主たる事務所の最寄りの供託所が変わっても、保管替えは使えません。新しい供託所へ先に供託し、その後に旧供託を取り戻します。
  • 営業保証金を有価証券へ差し替える場合も、先に新たな供託を済ませてから従前の供託物を取り戻します。一時的に二重供託となる順序で取引相手の保護を切らしません。