債務不履行・解除・手付
損害賠償と契約解除の要件、催告の要否、手付解除の期限を整理します。
履行遅滞・履行不能・不完全履行
約束した期限に履行しない履行遅滞、契約後に履行できなくなった履行不能、履行したものの内容が不十分な不完全履行が、債務不履行の基本類型です。損害賠償と契約解除では必要な要件が同じとは限りません。
損害賠償は帰責事由を確認
- 債務者に責任を負わせられない事情による不履行なら、原則として損害賠償を請求できません。契約内容や取引上の社会通念も踏まえて判断します。
- 金銭債務の不履行では、債務者は不可抗力を理由に遅延損害金の責任を免れません。損害の証明も不要です。
- 通常生ずべき損害に加え、特別な事情による損害も、当事者がその事情を予見すべきであったときは賠償の対象になり得ます。
解除はまず催告の要否を見る
催告解除と無催告解除
- 原則は、相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がなければ解除できます。ただし、不履行が契約や取引通念に照らして軽微なら解除できません。
- 全部の履行が不能、債務者が全部の履行を明確に拒絶、定期行為で時期を過ぎたなど、催告しても目的を達成できない法定の場合は催告せず解除できます。
- 解除は損害賠償と異なり、原則として債務者の帰責事由を要しません。ただし、不履行が債権者の責任によるときは解除できません。
不履行後の判断順序
不履行が起きたら請求ごとに要件を確認
- 履行請求
履行が可能なら本来の給付を求める - 損害賠償
原則として債務者の帰責事由が必要 - 契約解除
原則は催告。無催告事由と軽微性も確認
解約手付は相手方の履行着手まで
買主から売主へ手付が交付されると、別の意思表示がない限り解約手付と推定されます。相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄し、売主は手付の倍額を現実に提供して解除できます。自分が履行に着手していても、相手方がまだなら手付解除できます。
解除後の原状回復
- 解除されると、当事者は受け取った物や金銭を返す原状回復義務を負います。金銭を返還するときは受領時からの利息も付します。
- 解除しても損害賠償請求は妨げられません。また、解除前に権利を取得した第三者の権利を害することはできません。
- 双務契約では、相手方が反対給付を提供するまで自分の履行を拒める同時履行の抗弁権も、解除とは別に確認します。
法令・出典情報
- 法令基準日
- 2026年4月1日
- 確認日
- 2026年8月15日
- 法令根拠
- 民法第412条から第422条の2、第533条、第541条から第548条、第557条
- 更新内容
- 改正民法の解除制度に合わせ、債務者の帰責事由と軽微な不履行の扱いを明記しました。
公式参照先
2026年4月1日時点の民法と法務省資料を基に、宅建試験の債務不履行・解除・手付を独自整理した記事です。