権利関係 ・ 物権

共有・相隣関係の判断ルール

共有物の変更・管理・保存と、隣地使用・越境した枝や根のルールを整理します。

読了目安 約10分 ・ 2026年4月1日基準

変更・管理・保存の3段階

共有者は、持分の割合に応じて共有物全体を使用できます。ただし、共有物へ何をするかによって必要な同意が変わります。『重要な変更か、管理か、現状維持の保存か』の順に分類します。

共有物の行為別・必要同意

共有物にどの程度の影響がある?

  1. 形状・効用の著しい変更
    共有者全員の同意が必要
  2. 管理・軽微な変更
    持分価格の過半数で決める
  3. 保存行為
    各共有者が単独でできる

共有の頻出論点

  • 共有物そのものを売却するなど重大な変更は全員同意ですが、自己の持分だけなら各共有者が単独で処分できます。
  • 共有物の賃貸など管理に関する事項は、原則として持分価格の過半数で決めます。形状・効用の著しい変更を伴わない軽微な変更も過半数です。
  • 損傷箇所の修理、妨害排除請求など共有物の現状を維持する保存行為は各共有者が単独でできます。
  • 各共有者はいつでも共有物の分割を請求できますが、5年を超えない期間は分割しない契約を結べ、更新もできます。

所在不明共有者がいても止まらない制度

2023年施行の改正では、必要な公告などを経て、裁判所の決定により所在不明共有者以外の共有者で管理・変更を行う制度や、所在不明共有者の持分を取得・譲渡する制度が整備されました。所在不明者が1人いるだけで当然に何も決められない、とは限りません。

隣地使用と越境した竹木

枝と根を区別する

  • 境界付近の建物の築造・修繕、境界標の調査など必要な範囲で隣地を使用できる場合があります。原則として目的・日時・場所・方法を事前通知し、住家への立入りには居住者の承諾が必要です。
  • 隣地の竹木の枝が境界を越えたときは、原則として竹木の所有者へ切除を求めます。催告後も相当期間内に切らない、所有者を知れない、急迫事情がある場合は自ら切れることがあります。
  • 竹木の根が境界線を越えたときは、越えられた土地の所有者が自ら切り取れます。枝と根で手順が違います。
  • 建物は境界線から50センチメートル以上離すのが民法の原則ですが、地域の慣習や建築関係法令も確認します。